家族ができる脳梗塞の後遺症、失語症・構音障害のリハビリ

2018/10/18

 

 

脳梗塞によって脳の特定の部位に破損が生じると、言語機能に障害が出ることがあります。

脳梗塞の後遺症による言語障害の症状には大きく分けて「失語症」「運動障害性構音障害」の2つのタイプがあります。

もしご家族や大切な人が脳梗塞になったとき、そして言語障害を発症したら、医療機関で言語聴覚士からリハビリ治療を受けることができますが、ご家庭でもできる言語障害のリハビリをご紹介いたします。

1、脳梗塞の後遺症として起こる言語障害

 

脳梗塞の後遺症として起こる言語障害には、大きく分けて「失語症」と「運動障害性構音障害」の2つのタイプがあります。

 

・失語症

 失語症とは、脳梗塞によって大脳の言語をつかさどる領域が損失を受けて、ことばをうまく扱うことができなくなる症状です。失語症の患者様は、「聞いて理解する」「話す」「読む」「書く」といった言語にまつわる4機能のいずれか、またはすべてに障害を受けています。その障害の程度は、脳梗塞の損傷の程度によって差があります。

 

・運動障害性構音障害

運動障害性構音障害とは、脳梗塞によって脳幹または脳幹につながる神経線維が損傷を受けて、その結果として、唇や舌などに麻痺が出て、ことばをうまく発音できなくなる症状です。運動障害性構音障害は、発声がうまくできないのは機能性の問題のため、耳で聞いて理解する能力・目を読んで理解する能力に問題はありません。ですので、利き手に麻痺が出ていない限りは、運動障害性構音障害で言葉が発することができなくても、筆談でコミュニケーションを取ることは可能です。

 

2、患者家族としての接し方ポイント

 

大切な家族が突然脳梗塞を発症して言語障害の後遺症が残ってしまったら…

ご家族は日常生活をする上で、どのように接していけばよいのでしょうか。

「失語症」と「運動障害性構音障害」のそれぞれの接し方をご紹介します。

 

①「失語症」の場合

  失語症の場合には、言葉の話せなくなった患者様(家族)に対して、そのご家族が小さな子どもや赤ちゃんに言葉を教えるような態度接してしまいがちです。

でも失語症の患者様は赤ちゃんに戻ってしまったわけではなく、言葉を上手に扱えなくなっただけです。

患者様の自尊心を傷つけることのないように、ご家族が患者様の気持ちに優しく寄り添うことが大切です。

 

 

②運動障害性構音障害の場合

  運動障害性構音障害の場合には、ご家族など周りの人からは普通に話しているように聴こえているのに、患者様ご本人は、“ちゃんと話せていない”と感じていることが多いです。

こうしたケースでは、ご家族が普通に話せていることを伝えて、患者様に自信を持たせてあげるように接してください。

どの場合でも、過度の励ましや、「どうしてちゃんと話せないの?」というような叱責は絶対に禁物です。

患者様がうまく話せないことでストレスを感じ、話す努力をやめてしまったら、言語障害はさらに悪化してしまいます。

患者様のできることやできないことをよく理解して、行き過ぎない適切なサポートを心掛けることが大切です。

 

3、家族が自宅できるリハビリ

 

①「失語症」の家族ができること

 

  • あいさつ

「おはよう」「いただきます」という日常のあいさつは、たとえ重度の失語症であっても、家族が発した言葉を真似ていうことができます。

とっさに出る言葉が、言語障害のリハビリには効果があり、しかもコミュニケーションのきっかけにもなります。

 

  • 日常の会話

周りがうるさくない環境、聞き取りやすく、お互いの顔や表情がわかるような目線で、ゆっくりと理解しやすい言葉で話しかけましょう。そのときには赤ちゃん言葉で話しかける必要はありません。何を言おうとしているかを待つ姿勢が大切です。

表情やジェスチャーなどで察知して、「はい」や「いいえ」で回答できる簡単な質問をご家族から投げかけるのもひとつです。

 

  • 書字

名前、生年月日、住所、性別といった簡単な文字を書いてみましょう。

模写や文字をなぞることから始めて、書ける文字が増えてきたら申込書などを患者様ご自身で記入できるようにするなどを目標にしてみましょう。書きたいものも見ながら音読することで、言葉が言えるようになることもあります。

 

  • 日記・手帳・カレンダー

その日のできごとや、今後の予定を書くことで、読み書きの訓練になります。

はじめは単語単位での日記でも構いませんし、その日記から会話の話題も生まれやすくなります。

 

  • ハガキ・メール 

患者様ご自身で書き記すハガキや手紙が好ましいですが、それが難しい場合には、スマホやパスコンでメールを書くことも十分なリハビリになります。定型文を書き写す、またはご家族で一緒に文章内容を考えてあげるなども良いです。

 

  • コミュニケーションカード・ノート

「書く・話す」といったことが困難な場合は、あらかじめ言葉をカードに書いておいて、

言いたいことをカードで伝えるという方法ができます。

 

  • 教材

漢字ドリルやペン習字、また病院で言語聴覚士が作成した失語症用の訓練ドリルを家庭

でやってみるのもおすすめです。

 

  • 地域交流

失語症の患者様はうまく話せないため、どうしても外出を避けてしまいがちですが、周囲をコミュニケーションを多く取ることが非常に重要です。

無理に誰かと話すのではなく、近所の花や植物を眺めたり、買いものにでかけることから始めてみましょう。

地域のデイサービスや保健・福祉施設などで失語症の方のためのプログラムや交流会をおこなっているところもあるので参加してみることもよいでしょう。

 

 

②「運動障害性失語症」の家族ができること

 

自宅でもできる機能向上のためのリハビリをしてみることがおすすめです。

病院で言語聴覚士をリハビリするだけでなく、在宅でもご家族と一緒に楽しく前向きに取り組んでみましょう。

 

  • 姿勢

姿勢が崩れてしまうことで正しい呼吸ができなくなることがあります。椅子に深く腰掛けてもらい、足を床につけて背筋を伸ばして、あごを引くなど、患者様が正しい姿勢を心掛けるように声かえをしましょう。

 

  • 深呼吸

鼻から深く吸って、口から吐く深呼吸をしてみましょう。息を吸うときにはお腹を前に出して、吐くときは引っ込めるように意識して深呼吸をしてみると効果的です。

 

  • 肩や首の運動

脳梗塞の後には、筋肉が緊張状態にあることが多く見受けられます。首や肩といった上半身の緊張が、発声や発音に影響するため、首を左右に傾けたり肩を上げ下げして、緊張をほぐす運動をしてみましょう。

 

  • 口の運動

1、口を大きく開け閉じします

2、「うーいーうーいー」の口の動きをします

3、口を閉じ、頬を膨らませる、すぼめるの運動を繰り返します

4、舌を前に出したり、ふっこめたりします

5、舌先を上唇、下唇を交互につけます

6、舌先を左右の口の端につけます

7、舌先で唇を右回り、左周りでぐるっとなめます

 

これらの運動を3回くらい繰り返してみましょう。

 

  • 発声

「あー」と声を出しましょう。無理に大きな声を出し必要はありません。

 

  • 発声練習

母音、50音、濁音、半濁音(ガ・ザ・ダ・バ・パ)、拗音(キャ・キュ・キョ)をゆっくりはっきり発声してみましょう。

2音、3音とつなげる場合にも、どの音もはっきりと言えるように意識して、長い単語を言うようにします。次には短文、そして長文というようにステップアップしながら、発声練習をおこなっていきましょう。

 

 

 

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